京大生が考案。「ハラスメント防止7か条」を、全人類に見てほしい。

    Twitter上で話題になり「社会人にも配って」とまで言われた「ハラスメント防止7ヶ条」。執筆した京大生2人に、文章に込めた思いを聞きました。

    セクハラ、モラハラ、パワハラ……自分のこととして捉えるには?

    学校、職場でも問題視されている、ハラスメントの数々。

    悪気がなくても、知らず知らずのうちに相手を傷つけ、自分が加害者になっているケースも。どうすればそうした状況を防ぐことができるのか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

    そんな中、京都大学の学生たちが作成した、「ハラスメントを防ぐための7か条」がTwitter上で話題になっています。

    「社会人にも配ってほしい」という声まで寄せられたその内容とは?

    ツイートされたのは、京大の学生寮「熊野寮」の入寮者向けのパンフレットの1ページ。

    熊野寮入寮パンフレットの「ハラスメント加害者にならないため」の七カ条がすごくいい

    「ハラスメント加害者にならないために」と題されたこのページには、気をつけるべき項目が書かれています。

    この投稿は、2万8千以上リツイート、6万4千以上いいねを集め(3月25日現在)反響をよんでいます。

    リプ欄には「社会人にも配ってほしい」「素晴らしいルールですね!」など、数多くの声が寄せられました。

    ハラスメント加害者にならないために

    BuzzFeed Newsは「ハラスメント加害者にならないために」の執筆者である小林将悟さんと井上彼方さんを取材しました。

    京大生、約400人が生活する「熊野寮」

    なぜ2人はこうした文章を制作することになったのでしょうか?

    熊野寮は4階建ての建物で、現在約400人の京大生が共同生活を送っています。住んでいる学生たちが話し合いによって意思決定をし、大学とは独立して運営しているのが特徴です。

    「性別や国籍はじめ様々な属性の人が共同生活を営んでいるので、色んなトラブルが起きることがあります」と井上さんは話します。

    「雰囲気作りに対して、寮生一人一人が責任を負っている場だとも言えます。その中で寮をよりよくするための取り組みの一つとして『ハラスメント加害者にならないために』を書きました」

    2人がハラスメント防止の活動を始めたのは2015年。合同イベントにおいて、寮生によるハラスメントが発覚したことがきっかけでした。「取り返しのつかないことが起きてからでは遅い。全寮規模の予防的なアプローチが必要だと痛感した」のだといいます。

    今回の文章だけではなく、ハラスメントやジェンダーに関する学習会などを継続的に開いてきました。しかし、その道のりは、簡単なものではなかったといいます。「寮内では、悔しい思いもたくさんしてきた」と、井上さんはいいます。

    だからこそ、2人はより受け入れてもらいやすい内容の提起考案など、地道な活動を積み重ね、活動を寮全体のものへと少しずつ変化させていきました。文章は今年度の新入生向けの資料にも掲載されているそうです。

    「ハラスメントについての規範は、確立しておらず、この文章には不十分な点もあります。熊野寮生には、自分たちでより良い雰囲気を作り、アップデートしていってほしいです」

    誰でも「加害者であり、被害者である」ということ

    「寮内、学内でたくさんのハラスメントを見聞きしてきた」という2人。自らが「加害者、被害者、仲裁者として当事者であった案件もたくさんあった」といいます。

    自分や周りの人たちの実体験をもとに書いた文章だからこそ、「加害者を『自分とは違う悪い人』として扱わない」ことも大切にしました。

    「誰でも潜在的には加害者であり、被害者であり、誰でも加害をする可能性があるという視点を持ってはじめて、自分の加害性について内省することができると思います。もちろんこれは私自身にも当てはまることです」

    Twitterでの反響を受け、「自分の書いた文章にエンパワメントされたと言ってくれる人が一人でもいることが何よりも嬉しいです」と語ります。

    「悪意を持ってハラスメント行う人は、この文章を読んでも行動を改めてくれないかもしれません。被害を減らす役に立たない場合もあると思います」

    「でも、こういった認識が広がることで、被害者や心ある人が声をあげやすい雰囲気作りができれば、巡り巡って社会全体のハラスメントを減らしていくことはできると思っています。この文章がその一助になったら嬉しいと思っています」