妊婦向けマスク「謎の4社目」が判明 ユースビオ代表「癒着は一切ない」

    政府が妊婦向けに配布した布マスクをめぐり、非公表だった「4社目」の受注企業が福島市の「ユースビオ」だと明らかになった。樋山茂代表はSNSで広がる「首相のお友達企業」「利権絡み」などの風評を明確に否定。「癒着は一切ないです」と話している。

    政府が妊婦向けに配布した布マスクをめぐって、菅義偉官房長官は4月27日の記者会見でこれまで非公表だった「4社目」の受注企業が福島市の「ユースビオ」であると明らかにした。

    SNS上で「首相のお友達企業」「利権絡み」「癒着があるのでは」などと憶測が広がっていたが、ユースビオの樋山茂代表(58)は「癒着は一切ないです」と明確に否定した。

    妊婦向けマスクの一部からは変色や異物混入が見つかっているが、厚生労働省マスク班は「ユースビオのマスクに関して、こちらで不良品として確認しているものはありません」と説明している。

    4社目は「ユースビオ」

    政府は介護施設や障害者施設、保育園、幼稚園など向けに計2000万枚の布製マスクの配布を進めており、このうち50万枚が妊婦向けに配られている。

    妊婦向けマスクの受注企業について、厚労省はこれまで「興和」「伊藤忠商事」「マツオカコーポレーション」の名前を挙げたうえで、「上記3社に1社を加えた4社」と回答してきた。

    菅官房長官は会見でこの点を問われ、次のように説明した。

    「現在までに介護施設等向けに2000万枚、布製マスクを納入した事業者は興和、伊藤忠、マツオカ、ユースビオ、横井定の5社であります」

    「そして、妊婦用マスクについては、この介護施設等向けマスク2000万枚の一部、50万枚を配布したものであります」

    「これまで興和、伊藤忠、マツオカの3社からの納入分について、妊婦用マスクとして配布をされたことが確認できたので、そこを公表してきたということです」

    「今週末に改めて確認を行ったところ、ユースビオからの納入分についても、妊婦用マスクに配布されていたことが確認できたため、公表をいたしました。妊婦用マスクを納入した事業者は4社となる。こういうことであります」

    安倍さんと癒着があったら…」

    公表が遅れたことで、ネット上では「疑惑のアベノマスク」「お友達に便宜を図ったんじゃ」などと、「癒着」や「利権」を疑う声が拡散された。

    「癒着は一切ないです。もし安倍さんと癒着があったら、もっと高い値段にしてますよ」

    BuzzFeedの取材に対し、ユースビオの樋山代表は苦笑まじりにこう否定する。

    厚労省に名前を伏せるように頼んだこともなく、「最初に社名を出していいかと聞かれた時から、ずっと『いいですよ』とお伝えしています」。

    ベトナムで生産

    ユースビオはもともと、ベトナムからバイオマス発電用の木質ペレットを輸入する事業を展開している。

    「ベトナムマスク」と呼ばれる布製の立体型マスクを大量生産するメドが立ったため、地元の福島県や隣接する山形県への納品を模索。

    途中で政府が一括購入する方針が決まったことから、国と契約したという。

    同社と厚労省は契約の詳細を明らかにしていないが、関係者によるとマスクの単価は約130円、契約枚数は350万枚程度とみられる。

    ユースビオのマスク「不良品確認されず」

    妊婦向けマスクをめぐっては、変色や異物混入も報告されている。

    社名が公表されていなかったことも相まって「4社目が不良品を出しているのでは」といった風評も出ていたが、樋山代表は「ウチのマスクからは不良品などの問題はまったく出ていない」と一蹴する。

    厚労省マスク班の担当者もBuzzFeedの取材に、ユースビオのマスクには現段階で不良品は確認されていないと回答した。

    UPDATE

    中傷や嫌がらせの可能性を考慮し、初出時には樋山代表の名前を伏せましたが、本人の了承を得て実名での報道に切り替えました。