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高須克弥さんが「子宮頸がんはコンドームで防げる」という誤った情報を拡散、その後謝罪

美容整形外科医の高須克弥さんが新型コロナウイルスと比較して子宮頸がんの感染リスクを軽視するツイートを行った。このツイートが現在、拡散を続けている。

新型コロナウイルスと比べ、子宮頸がんの感染リスクを軽視する誤った情報が拡散している。

発端となっているのは美容外科医・高須克弥さんのツイートだ。

高須さんは、「子宮頸癌はコンドームを一瞬つければ防げるが新型コロナウイルスはマスクをつけっぱなしにしても感染する可能性があるんだよ」としたうえで「危険性は比べものにならん」とコメントしている。

だが、この情報は誤りだ。

きみは馬鹿じゃないか❗ 子宮頸癌はコンドームを一瞬つければ防げるが新型コロナウイルスはマスクをつけっぱなしにしても感染する可能性があるんだよ。同時に何人にもうつせるのだ。 危険性は比べものにならん。 https://t.co/GlYbKmArGn

Twitter

高須さんはまとめサイト「Share News Japan」の「神戸大教授『毎年3千人亡くなる子宮頸がん対策をほったらかして国内死者ゼロのウイルス感染にパニクるのは合理的ではない』」という記事を先述のコメント付きでリツイートしている。

このツイートは2月5日午後8時の段階で2300回以上リツイートされており、非常に拡散している状態だ。

ツイートに対し、元記事で紹介されていた神戸大学教授、感染症の専門家・岩田健太郎医師は「防げません。少なくとも防ぎきれません」とコメント。また、感染症対策コンサルタントの堀成美さんをはじめ、多くの医療関係者もこの情報の誤りを指摘している。

「子宮けいがんがコンドームで防げる」を謹んで訂正文いたします。 「防ぐのに有効性が認められます」 コロナ肺炎新型ウイルスのマスク防御率より有効です。 ウイルスはゴムを通過できません。 https://t.co/qarB8GOzf3

Twitter

その後、高須さんはこうした指摘を受け、「子宮頸がんはコンドームを一瞬つければ防げる」という情報が誤りであったことを認め、訂正した。

なお、問題となったツイートは削除されることなく、現在も残ったままだ。

HPVはコンドームでは防ぎきれない

子宮頸がんは若い女性がかかるがんでは、乳がんに次いで2番目に多い。年間約1万人近くの女性が子宮頸がんとなり、約3000人の人が命を落としている。

子宮頸がんの発生の多くに関連しているのが、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染だ。

このHPVは性的な接触で感染するが、厚生労働省によると感染しても免疫によって2年以内に90%が排除される。だが、ウイルスが排除されることなく感染が続くと一部が子宮頸がんの前がん病変になり、子宮頸がんに進行すると考えられている。

NIH(アメリカ国立衛生研究所)によると、HPVは男女ともに外陰部から肛門まで分布しており、セックス、アナルセックス、オーラルセックスをはじめ粘膜および皮膚の濃厚な接触で感染する。そのためコンドームを使用しただけでは感染を防ぐことは不可能だ。

日本で承認されている子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)には子宮頸がん全体の50%〜70%の原因とされている2種類のHPVの感染を防ぐ効果があるため、WHO(世界保健機関)はワクチンの積極的接種を推奨している。

「完全に防げるわけではない」

「毎年」3千人亡くなる子宮頸がん対策をほったらかして国内死者ゼロのウイルス感染にパニクるのはどう考えても合理的ではない。

神戸大学の岩田健太郎医師はBuzzFeed Newsの取材に対して、「(コンドームで)ちょっとは防げると思いますが、完全に防げるわけではない。ワクチンがいらない根拠にはならないと思います」とコメント。

国内での死者が現在までに発生していない新型コロナウイルスに関する報道が過熱する一方で、年間3000人あまりが命を落とす子宮頸がんへの対策がなされていないことに疑問を呈した。

「子宮頸がんでは毎年3000人の方が亡くなっている。有効な手立てがあるにも関わらず、こちらはほったらかし。こういった恒常化したリスクに無関心な状態はバランスが悪すぎます」